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2021年10月10日 (日)

タイタニック号

財務次官の投稿を雑誌より一部抜粋、
「最近のバラマキ合戦のような政策論を聞いていて、やむにやまれぬ大和魂か、もうじっと黙っているわけにはいかない、ここで言うべきことを言わねば卑怯でさえあると思います。
数十兆円もの大規模な経済対策が謳われ、一方では、財政収支黒字化の凍結が訴えられ、さらには消費税率の引き下げまでが提案されている。まるで国庫には、無尽蔵にお金があるかのような話ばかりが聞こえてきます。
 かつて松下幸之助さんは、「政府はカネのなる木でも持っているかのように、国民が助けてほしいと言えば何でもかなえてやろうという気持ちでいることは、為政者の心構えとして根本的に間違っている」と言われたそうですが、これでは古代ローマ時代のパンとサーカスです。誰がいちばん景気のいいことを言えるか、他の人が思いつかない大盤振る舞いができるかを競っているかのようでもあり、かの強大な帝国もバラマキで滅亡(自滅)したのです。
 私は一介の役人に過ぎません。しかし、財政をあずかり国庫の管理を任された立場にいます。このバラマキ・リスクがどんどん高まっている状況を前にして、「これは本当に危険だ」と憂いを禁じ得ません。すでに国の長期債務は973兆円、地方の債務を併せると1166兆円に上ります。GDPの2.2倍であり、先進国でずば抜けて大きな借金を抱えている。それなのに、さらに財政赤字を膨らませる話ばかりが飛び交っているのです。
 あえて今の日本の状況を喩えれば、タイタニック号が氷山に向かって突進しているようなものです。氷山(債務)はすでに巨大なのに、この山をさらに大きくしながら航海を続けているのです。タイタニック号は衝突直前まで氷山の存在に気づきませんでしたが、日本は債務の山の存在にはずいぶん前から気づいています。ただ、霧に包まれているせいで、いつ目の前に現れるかがわからない。そのため衝突を回避しようとする緊張感が緩んでいるのです。」

 正論であり、現役官僚としては、勇気ある発言である。

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