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2020年4月30日 (木)

渋谷健司氏の論考(4)

検査拡大こそが出口戦略の要
 今の日本の感染状況や8割の接触削減に遠い現状を見ると、5月6日の解除は到底無理であり、残念ながら、私が指摘してきたようにさらに強力なロックダウンが必要となるかもしれない。一方、先にロックダウンを実施した欧米諸国では、多くの国で第1波の感染ピークを越え、解除に向けた具体的議論が盛んになっており、一部の国で解除を始めている。
 新型コロナウイルスは、米国CDCのレッドフィールド所長がこの冬の第2波がより厳しいものとなる可能性を警告しているように、一旦おさまったように見えても、第2波、第3波が繰り返し押し寄せ、少なくとも数年にわたる戦いになることを覚悟する必要がある。つまり、一旦おさまっても感染の状況を常に警戒し、感染が広がり始めたら再度ロックダウンをするという、ロックダウンの繰り返し戦略が必要となる可能性が高い。

 だが、ロックダウンの繰り返しは大きな社会経済的コストをもたらし、多くの国民にとって厳しい状態が続くことになる。できる限りロックダウンの繰り返しを避け、コロナを終息させることはできないのであろうか。ワクチンがない場合は全人口の70%が自然感染しないと終息はしないと言われている。しかし、繰り返しのロックダウンなしにこれを達成することは極めて困難だ。なぜならば、感染をコントロールできなくなれば、急激な感染者の増加によって多くの犠牲者が出るとともに、医療崩壊は何度でも起こりうるからだ。
「週に1度、国民全員にPCRを行う」英国の専門家たちが提案
 最近、筆者の友人の公衆衛生の専門家30名以上が連名で英国の政治家、医務技監、主席科学顧問宛てに送った書簡が大きな物議を醸している。それは、「1週間に1度、国民全員に定期的にPCR検査を行う」という提案だからだ。大部分の読者は「そんなの無理だろう」と思うであろう。当然、今すぐの実施は不可能で大きなハードルがいくつも存在するが、公衆衛生的観点からは極めて重要な意味を持つものであり、筆者もその方向性には大いに賛成している。
 全員検査によって、ロックダウンなしにコロナをコントロールできる可能性がある。
 実現するためのハードルは、山ほどある。当然ながら、検査を大幅に、それこそ、1日数十万から100万単位で行う必要が出てくる。そのためにも、検査におけるイノベーションが不可欠だ。例えば、すでに英国や米国でも実施されている在宅検査キットなどは魅力的だ。

 また、鼻腔や咽頭を綿棒でこするやり方ではなく、簡便な唾液での検査も米国では承認されている。自宅検査キットは、今後のコロナ対策においても極めて重要であり、関係者が協力して前向きに対応することを望みたい。
 このほかにも、陽性者を隔離するための大量の収容施設の整備は当然必須であり、また、保健所職員に過度の負担をかけずに、感染拡大の観点から、個々の感染者の行動パターンを把握するため、個人情報保護に配慮しながら、アプリを用いた感染者のビッグデータ分析を進めることも必要だ。

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