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2009年10月 4日 (日)

八ッ場ダム

 群馬県の八ッ場(やんば)ダムが大きな問題になっている。
 詳細を知る立場にないし、すでに多くの専門家によって語られているので、中止又は続行の議論に割って入ることはできないし、そのつもりもない。
 この問題を例に取りながら、公共事業の問題点と住民の反対を乗り越えて政策を実施する方法などについて考えてみたい。

 このダムは、戦後間もなくの1952年に計画されたという。その後半世紀がすでに経過し社会経済情勢は大きく変わっているにも拘わらず、計画だけは生き続けている。治水や利水が目的とされているが、この間ダムがなくても、流域の人々は、立派に発展を謳歌してきている。これだけ見ても、ダムの必要性はあまりない。要するにダムを建設する目的は、造ることそれ自体、公共事業によりお金を落とすことであると言えるのではないか。
 縦割りが貫かれている行政機構にあっては、各省、各部局では、予算の確保が至上命題とされる。そのためには、一つの事業が終わればまた次の事業と、予算を減らさないために、次々に新しい事業が、官僚の作文の中で考案されていく。そして、それらは、政治と業界の利権の温床になる。
 極論すれば、見直しの対象となっている全国140あまりのダムのほとんどは、この類であろう。

 八ッ場(やんば)ダムの本体工事はまだ着工されておらず、よく目にするT字型の構造物は、ダム湖をまたぐ高架道路の橋脚である。その下を電車が走っている光景は、異様である。ダムが完成すれば、村落とともにそこに育まれた文化も失われ、二度と復元することはできない。数千年にわたって形成されてきた地形、景観を、一時代の都合、或いは人間の奢りによって永久に破壊することが許されるのであろうか。

 福山鞆の浦の埋め立てに待ったをかけた判決が出されたが、現実の生活よりも、景観や歴史という抽象的なものが大切な場合があるということを宣言した画期的なものである。

 自然に対する謙虚さを忘れてしまったら、必ずそのつけが回ってくる。
 河川や森林の自然な状態をできるだけ大切にしながら、我々の生活の豊かさを追求していく方法はいくらでもある。

 もう一つの論点「住民の反対を乗り越えて政策を実施する方法」については、次回に譲ることにする。

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コメント

岩国市の奥に出来かけている平瀬ダム。 清流錦川の源である。
私は、平瀬ダムの建設に反対している人たちと、数年前から時々会っている。 清流を愛する若者たちである。
一度、平瀬ダムの現状をみんなで見に行ったこともある。

その若者達は、治水はダムを造るのではなく、植樹で保水力を高めることのほうがどんなに大切か?必至に訴えていた。
一度たまった水は、死んだ水となり下流に流されてしまう。

国のダムだけでなく、県が進めているダムも見直して欲しい。
土建業者のためでなく、地球のために考えてくれる政治家はいないのか? 二井知事に言いたい

投稿: 平瀬 | 2009年10月 5日 (月) 21時33分

平瀬ダムを考えるシンポジウムをぜひ企画してください。
地域的に八ツ場ダムより、川辺川の方が近いし、
カヌーやラフティングつながりもあるだろうし、
清流、鮎つながりもあるだろうし、
いかがでしょうか?

投稿: 危険爺 | 2009年10月 6日 (火) 15時10分

政権が移行して鳩山内閣の外交政策が注目されている。とりわけ、対アメリカ外交について対等な日米関係を求めていることが注目された。
いつだったか、NHKの番組「新ディベート」で、日本の外交はどう変わるのか?民主党議員が徹底討論、というおもしろい番組があった。
40~50代の民主党の議員らの能力を新鮮で頼もしいと感じた。他にアメリカの大学教授、北京大学の教授、アメリカ政府元アジア政策部長(?)などが出ていた。
東アジア共同体についても新しい国際関係のシステムが求められているのかもしれないとそのとき実感した。
アメリカの公文書公開だけでなく多くの証言がありながら、岡田大臣の指示のもと外務省が国内への核持ち込みや沖縄返還に関する密約について調査が行われている。過去の経緯がどのようなものであれ、すべて明らかにした上で問題点を検証し、今後の政治に活かしていくことが大切である。国民には知る権利がある。
ご尤もなことであるし、私も国際関係は常に対等が原則だと考えてきた。
核持ち込み艦の入港を「事前協議外」とするという「密約」の存在については、すでに元駐日大使ライシャワーが新聞等のインタビューで明らかにしている。
また、当時の大平正芳外相がライシャワー大使に対して、「日本国内への核兵器持ち込みを了承した」という駐日大使館から国務省あての通信記録が発見されている。
つまり、日米安保体制には条約の文言以外に秘密規定があるということは、すでに30年も前から国民みんなが知っていることになる。これまでの日本国政府がその確認を拒否していただけである。
だから、厳密に言えば「密約があったかどうか」という事実関係にかかわる問題ではなく、「政府が密約の存在を認めるか認めないかの判断基準は何か」という、「統治にかんする技術問題」だと指摘されている。
ライシャワーが「賢明」な判断を高度な政治判断として求めたのも、この国がアメリカの軍事的属国であることを明らかにするかどうかの問題と考えるのがきわめて自然であると考えていいのではないか。
所得倍増計画をぶち上げ高度経済発展という実の利を選択した時点で、この国は軍事的属国を受け入れたことになっていると考えれば、岩国の米軍再編問題やそれに関連する民空、愛宕山、庁舎建設に絡む自民党政権の“アメと鞭”も理解できるというものだろう。
今、すべてを明らかにしこの国の根幹にかかわる問題として、憲法や安保問題を含めた議論の深まりと、新たなる国際関係が求められているのではないかと考える。
八ツ場ダムや鞆の浦の問題にしても、これまでの自民党を支えたひも付き土建感覚では成り立たなくなっていることを痛切に感じている。

投稿: KIM | 2009年10月 7日 (水) 18時48分

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